建築VEの効率化例

3Dモデルによる長大スパン梁架設検証

工事 工種 細別・キーワード
倉庫 鉄骨工事 長大スパン ・ベント

機能の定義

トラス梁を架ける

改善の概要

3Dモデルを使った事前検証により、スパン長60mのトラス梁架設を仮受支柱(ベント)無しで架設し、工程短縮を図った。

当初案

改善案

内容・略図

内容・略図


主要説明

スパン60m、梁成3m、重量約32tのトラス梁の施工において、仮受支柱(ベント)を2カ所設け架設する計画であった。この場合、ベントの設置撤去一式に加え、設置部の地盤改良やベントがあることで生じる後施工工程など、工程や施工性に多くの課題があった。


主要説明

3Dモデルを使った事前検証により、ジョイント部の補強対策を施すことで部材の変形やたわみ量など要求精度内の品質が確保できることを確認、直下での全地組、ベントレスによる架設を実施した。


コスト比較

仮設支柱(ベント)
1式
油圧ジャッキ
1式
地盤改良
1式
揚重治具(玉掛ワイヤーなど)
1式
揚重費(220tクレーン)
3ヵ月
揚重費(クレーン組立)
1式
(PL変更)
9セット
(斜材変更)
25箇所
仮設支柱(組立解体)
9セット

コスト比較

地組ヤード
1式
PL変更
9セット
斜材変更
25箇所
揚重治具(玉掛ワイヤーなど)
1式
揚重費(300tクレーン)
2ヵ月
揚重費(クレーン組立)
1式
  • VE節約率
    43.2%
  • 労務省力化率
    70%

改善案の効果(コスト以外の定量的・定性的評価)

  • ・ベントに関わる工程、後施工不要による工程短縮20日
  • ・地組ヤードをほぼ架設個所の直下に設置でき、作業ヤードをコンパクトに整備
  • ・ベントの組立解体、ジャッキ調整など高所作業削減による安全性の向上

水平展開に向けての留意点・助言

3Dデータ作成を含め、事前検証に期間を要する。鉄骨製作にも関わるため、早期検討が必要。設計者やファブや専門工事業者とのヒアリング・協議が必要。


ベントレスによるトラス梁架設状況

公道上での連絡通路架設方法の見直し

工事 工種 細別・キーワード
商業施設 躯体 連絡通路・鉄骨建方・外装

機能の定義

連絡通路を架設する

改善の概要

市街地繁華街の公道上での連絡通路架設工において、場内で地組み・外装仕上げをしたものを一晩で架設、第三者への影響を最小限に抑えた。

当初案

改善案

内容・略図

内容・略図


主要説明

道路占用した上空で、夜間作業にて鉄骨を組立て、吊り足場・外部足場を架設し、外装仕上げをする。そのため、公道上への物の落下、夜間作業の長期化が懸念された。


主要説明

  • ・鉄骨建方順序を調整し、場内ヤードで外装仕上げまでを完成させた連絡通路を一晩で架設した。
  • ・本体鉄骨の全体が固まっていないため、仮受け支保工で受ける計画とした。

コスト比較

吊り足場他足場類
1式
建方労務費(夜間)
15t
夜間労務費アップ
1式
警備費(夜間2名常駐)
3ヶ月

コスト比較

建方労務費(夜間作業含)
14.5t
160tクレーン
12h
25tクレーン
12.5h
吊天秤・地組用架台
1式
仮受け支保工
1式
警備費(夜間)
5人
  • VE節約率
    52.6%
  • 労務省力化率
    60%

改善案の効果(コスト以外の定量的・定性的評価)

  1. ①公道上空での高所作業が削減されるため、第三者への飛来落下災害、ならびに作業員の墜落災害のリスクが大幅に低減。
  2. ②夜間作業の削減により工程短縮。

水平展開に向けての留意点・助言

  1. ①狭い敷地での地組みとなるため、本体鉄骨の建方順序と併せて検討。
  2. ②鉄骨精度から仕上を決めるため仕上精度の確保。
  3. ③外装まで仕上げるため、早期のもの決めが必要。