気候変動の緩和と適応

「1.5℃目標」の目指す「2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロ」を果たすため気候変動対策は当社にとっての最重要課題と位置づけています。
脱炭素の取り組みとして、当社の国内事業におけるCO₂排出量(総量)全体の約9割を占める施工部門のエネルギーを中心に事業活動全体で、徹底した省エネ対策と再生可能エネルギーの活用に重点を置いた施策を推進しています。また、ライフサイクル全体における環境負荷の低減を意識した環境技術提案、環境配慮設計‧施工、調達を通じて、持続可能な建物‧まちづくりに貢献していきます。中でも、当社が関わる建物に積極的なZEB(ネット‧ゼロ‧エネルギー‧ビル)提案を行い、お客さまや社会に対して最適な価値を提供する独自のZEBブランド化を目指しています。

気候変動の影響により異常気象の頻発や自然災害の激化、極端現象の増加にともなう災害が慢性化‧増加すると想定される状況に対して、当社では2020年に防災技術部を新設し、防災‧減災‧BCP対策に注力し、事業運用、施工現場の運用計画に対応しています。加えて、2023年度に中長期的な環境戦略を立案するGX戦略部を新設し、GX推進に必要な技術を開発する部署として技術センターの環境研究部をGX推進研究部に名称変更をしました。

カーボンニュートラルに向けた取り組み

  • エネルギー使用からのCO₂排出削減
    • ・当社単体で購入電力の100%再生可能エネルギー化を達成(2023年度見込み)
    • ・軽油代替燃料(GTL燃料、次世代バイオディーゼル燃料)、軽油用燃焼促進剤の利用推進
  • 新築建物のZEB・ZEH化
    • ・ZEB提案力の強化、ZEB率目標を設定(2030年度目標100%)
  • 事業活動における省エネ対策
    • ・施工現場で省燃費型重機の利用・省燃費運転の推進、電気自動車の導入、グリーン調達の推進
  • 全ての新築建物屋根上に太陽光発電設置
  • 新たな脱炭素技術の研究・開発と実用化
  • サプライチェーンと連携したCO₂排出削減

TCFDに基づく情報開示

フジタでは、「気候変動」をグローバル社会が直面している最も重要な環境および社会課題の1つであると認識し、企業の持続性に関わる中長期的な経営課題と見なし、継続して気候変動対策を検討しています。
気候変動が事業活動に与える影響について、2020年度~2021年度に部門横断的なワーキンググループを設け、TCFD要件に適合するプロセス開発とシナリオ分析を行いました。シナリオを設定・想定の上、カテゴリー別にリスク・事業機会となる309の重要課題を評価・抽出した結果、重要課題は「脱炭素」「災害・防災」「自然資本」「労働・健康」の4つの分野に集約されました。社内で「シナリオ分析プロセス」を開発し、「重要課題」を抽出・評価したことで、手順やシナリオの独自性を確保しました。
また、既存の活動と重要課題との関係、加えて将来のシナリオを示すことで、フジタの気候変動経営、事業展開の方向と背景を社内外に示すことができるようになりました。これらのプロセスと重要課題は社内外に開示しています。なおプロセスの妥当性を確認するため、この分野に精通した専門家による外部レビューを受けています。(フジタ“高”環境レポート2022「フジタの気候変動経営」)

2022年度は、「重要課題」を中期経営計画重点方針、部門・技術開発戦略、部門目標に反映・展開し、目標の進捗管理や新たな課題は、部門・部署のマネジメントで監視・改善しています。また、シナリオ更新作業にともなう重要課題の更新も継続的に行なっています。
2023年度からはガバナンス強化のため、より戦略的な取り組みを目指す環境経営の推進体制を明確化し、環境マネジメント体制を再編成しました。(フジタ“高”環境レポート2023「リスクと機会 ~シナリオ分析でフジタの価値と社会をつなぐ~」)

こうした基盤構築のプロセスを経て、2023年1月にTCFD提言に正式に賛同を表明し、TCFDフレームワークに基づく情報開示を進めています。