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北4東6周辺地区第一種市街地再開発事業

創造したいのは
未来
− まちづくりに懸ける想い −

大和ハウスグループの総合力を駆使して挑んだ、再開発事業。
フジタが手掛けてきた“まちづくり”の中でも最大規模のプロジェクトを、成功へ導いた要因とは。

プロジェクトの
進行役となったメンバー

  • 営業担当廣川
    (北海道支店 営業部)
  • 再開発組合 事務局長代理宮島
    (交通事業部 企画営業部)
  • 再開発組合 事務局次長高橋
    (東京支店 企画営業部)
  • 再開発組合 事務局員石黒
    (東日本開発事業部
    再開発推進第一部
    北海道オフィス)

大和ハウスグループ
となった直後に
巡ってきたチャンス

2022年1月、札幌市中央区の「北4東6周辺地区第一種市街地再開発事業」の工事が完了した。フジタが特定業務代行者として参画してから約6年の歳月をかけた大規模プロジェクトである。札幌市の都市化は、札幌を東西に分ける創成川を境に大きく風景が異なっていた。JR札幌駅や地下鉄、オフィス街や繁華街で栄える創成川以西に対し、プロジェクトの対象となった創成川以東地区(創成イースト)は工場や倉庫といったイメージが依然として残っていた。しかしその地に、札幌市まちづくり戦略ビジョンのもと「地域でつくる健全・健康・にぎわいスペース」として、多用途施設が並ぶ複合的な“まち”が誕生したのだ。

対象エリアは札幌の「創成イーストエリア」

「子供の頃は『緑色の丸いタンクがいっぱい並んでいる薄暗い』という印象の場所を、自分たちの力で再開発することができるとは、感慨深いものがあります」と語るのは、生まれも育ちも札幌の、廣川である。このプロジェクトにフジタが参画したのも、大和ハウス工業札幌支店から、札幌営業所長を務めていた廣川に直接相談が持ちかけられたところからはじまった。フジタが大和ハウスグループの一員となった翌年、2014年のことである。まさに大和ハウスグループだからこそ恵まれたビッグプロジェクトだ。
廣川を主席に、プロジェクトメンバーにはまず、東京支店企画営業部の高橋に白羽の矢が立った。当時の想いを高橋は「4ヘクタールを超える、札幌を代表するような再開発ですし、体育館といった大きな公共施設にも携われて、権利者も少ないという好条件。ぜひ実現させたいと強い気持ちで臨みました」と語る。

再開発前の「北4東6周辺地区」の様子

経験豊富な
メンバーの先導により
開発〜着工へ

設計プランから工事費、補助金といった費用面など事業採算性を検証し、完成への見込みを立ててから組合事務局が設立された。フジタは特定業務代行事業者として、事務局の運営を任された。そこで高橋に加えて選任されたのが、これまで数々の再開発事業で事務局運営に携わってきた宮島だった。「再開発は息の長い事業ですから、最後まで関われる機会は多くありません。今回はぜひ、完成までやりきりたいと思いました」。廣川や高橋と同様、宮島もこのチャンスに気持ちが高まっていた。

3つのゾーンを二工区に分けて施工

今回のプロジェクトにおける工区は二区に分かれていて、第一工区では「にぎわい・住居ゾーン」「スポーツ・エネルギーゾーン」にツインタワーマンション、体育館、そしてエネルギー供給施設を建設。続く第二工区では「健康・福祉ゾーン」に医療・福祉施設や健康増進施設を建設する計画が立てられた。第一工区における保留床(再開発事業によって新しく生み出された床)取得者は確保されている状況だったが、第二工区の施設に関しては、その保留床取得者は明確に決まっていなかった。それに、事業全体の収支も細部まで見通しが立っておらず、宮島と高橋は、連日夜遅くまで顔をつき合わせ、調整を図った。

空中歩廊が横切る分譲ツインタワーマンション
「ザ・タワーズフロンティア札幌」

「事業を組み立てて実行へ踏み切るには、いろいろな企業・団体が集まった会議体の関係を強化することが大切ですから。コミュニケーションをとることは常に心掛けました」。そう語る宮島が先導し、各所の合意を得て2016年8月に第一工区の施工がスタート。当時の心境を廣川はこう振り返る。「プロジェクトが軌道に乗らず、組織の立て直しが必要だと感じていたときに宮島さんが加入してくれたことで、札幌市やコンサルタント会社と連携しながら、流れが良い方向へと飛躍的に変わりました」

札幌市中央体育館として誕生した
「北ガスアリーナ札幌46」
災害に備える自律分散型エネルギー供給拠点
「46エネルギーセンター」

降りかかる難題を
「大和ハウスグループの
総合力」で解決

積雪の多い寒冷地での施工、さらに2018年9月には胆振東部地震という不測の事態に見舞われながらも、工事担当とも密接に連携した結果、第一工区の施工は予定通りに進行していった。しかし、さらに第二工区が着工するときだった。宮島に異動辞令が出され、事務局の常駐が不可能となったのだ。その後任として、東京で再開発案件に携わっていた石黒が事務局に加入。首都圏の再開発事業で経験を積んできた実力者が後任に立ち、安堵しながらも、宮島は東京から札幌まで定期的に通うことを決意する。「加入したときから完成までやりきりたいと思っていましたし、札幌市や事務局長からも、事業推進中に何が起こるか分からない、常駐はできなくても、最初から最後までひと通り事情を理解できている人間がいなくてはならない、と投げかけられていたことも大きな理由です」。

この頃になると事務局内の連帯感も強まり、後任の石黒にとっても仕事しやすい雰囲気が流れていた。しかしその矢先、難題が降りかかる。第二工区の「健康・福祉ゾーン」保留床取得予定の事業者が、工事費や施工プランの相違などで折り合いがつかず、撤退を申し出てきたのだ。メンバー全員が途方に暮れてしまう事態の中、ここでリスクを察知し伏線を張っていた高橋が、迅速に動く。大阪支店に勤務していた際に交流のあった、大和ハウスグループの不動産デベロッパー「コスモスイニシア」の担当者にも施設開発の相談を持ちかけていたのである。

それが功を奏し、第二工区ではアクティブシニア向け分譲マンションの参画が決まる。さらに大和ハウスグループの「スポーツクラブNAS」によるフィットネス施設の建設も決まり、2019年3月から第二工区の施工をスタートすることができた。石黒はこのときの心境を「途中から加入した身とはいえ、こんなドラマチックな展開に関われて、本当に貴重な経験になりました。今回のプロジェクトが実現できたのも、まさに大和ハウスグループの総合力、いや底力があったからこそだと思います」と振り返る。

アクティブシニア向け分譲マンション「イニシアグラン札幌イースト」
フィットネス施設「NAS Vit Park札幌」
LEADS Evolution

あらゆるリスクを想定し
「総合力」でカバーする

未来への可能性に満ちた、
テーマのある再開発

フィットネス施設として誕生した「NAS Vit Park札幌」は札幌エリアでも最大規模で、オープン当初から盛況が続いている。そして2022年5月には、まちびらきセレモニーを開催。また、8月に敷地内の芝生広場で開催された「VitPark札幌47地域交流イベント―47夏フェス」には地元の方々が数多く訪れ、賑わいを見せた。
宮島は、この反響に実感を噛み締める。「イニシアグラン札幌イーストには、シニアの生活をサポートするためのスタッフが常駐しています。『47夏フェス』は、スタッフが常駐しているからこそ実現できたエリアマネジメント的イベントと言えるでしょう。再開発で完成した街で、シニアマンションの運営をしながら地域のエリアマネジメント的役割も担っていくことができる――。これも『大和ハウスグループの総合力』による街づくりの魅力だと感じています」。まちびらきセレモニーの運営を務めた高橋は、「今回の経験を通じて、この仕事で一番必要なのは想像力だと改めて思いましたね。ゴールを見据えて自主的に動くことが大切で、とはいえ個人の力量だけでは限界があるので、自主的に動ける組織づくりが大切だと感じました」と笑顔で話す。
東京から加入した石黒だが、今回のプロジェクト完成を機に、現在も札幌で、さらなる再開発事業に挑み続けている。「2030年には北海道新幹線も開業しますし、2030年冬季五輪開催候補地にもなっています。大きな節目を迎える札幌の活性化に、少しでも貢献していければという想いです。現在もフジタではJR・地下鉄琴似駅周辺や、創成川西側にある狸小路商店街の再開発などにも携わっています」

今回の再開発では、住宅やフィットネス施設といった生活スペースの充実だけでなく、札幌を代表する複合商業施設・サッポロファクトリーへのアクセスの利便性を高めた空中歩廊の建設、万が一の災害時でも避難場所となる中央体育館、安定した電力供給を可能にするエネルギー供給施設の建設といった多機能な“まち”の実現に、廣川は大きな手応えを感じていると言う。「しっかりとテーマのある再開発を実現することで、周辺とも有機的につながる仕組みのある、未来への可能性に満ちたまちづくりができました。特に、「46エネルギーセンター」を中心として街に形成された新しいエネルギーネットワークのあり方は、2020年度グッドデザイン賞を受賞し、環境にやさしく災害にも強いまちづくりのデザインが高く評価されています。すでに定住人口は1,000人を超えていますが、今後ますます成長を遂げていくと思います」

廣川は最後に、今後の展望についても語ってくれた。「今回やり遂げることができたのも、メンバーの能力、フジタの企業力、そして大和ハウスグループの総合力がひとつに結びついた、まさにシナジーだと思います。この力が備わっている以上、かつて経験したことがない領域にも挑んでいけると思っています」。これまでも“まちづくりのフジタ”と呼ばれるほど数々の実績を残してきた。それでも決して満足することなく前を向き続けたからこそ、今回のような、フジタが手掛ける再開発事業の中でも最大規模のプロジェクトを、成功へと導くことができたのだ。

賑わいを見せた「まちびらきセレモニー」
芝生広場で開かれた「47夏フェス」も大盛況
狸小路商店街には屋台横丁「狸COMICHI」がオープン
LEADS Relief

地域の未来を見据えた、
喜ばれる「まちづくり」

Voice

個人、企業、そしてグループ。
すべての力を結びつけることで、
新しい道は、切り拓いていける。

営業担当廣川

北4東6周辺地区第一種市街地再開発事業 VR完成動画