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大和ハウスグループ新研修センター
建設プロジェクト

不可能を
可能に
− 挑戦、そして強い絆 −

先進的なデザインが心に残る、大和ハウスグループの新たな研修施設。
複雑かつ難解な施工に立ち向かう。メンバーの間で自ずと形成されていったものとは。

プロジェクトの
中心となった主要メンバー

  • 所長森田
  • 副所長渡邉
  • 工事チーフ吉田
  • 外装工事担当藤田
  • 鉄骨・内装工事担当西澤

想いが詰まった
「斬新かつ有機的」な
建築物

奈良県奈良市に誕生した大和ハウスグループ「みらい価値共創センター コトクリエ」。大和ハウスグループ創業者・石橋信夫の生誕100周年にあたる2021年に、その精神・DNAを受け継ぐための場所として誕生した、大和ハウスグループの研修施設である。建物の構想にあたっては、延べ150名以上の大和ハウスグループ社員が参加したワークショップで、アイデアを集約。そこから生み出されたのは、外装、内装ともに波打つような曲線を取り入れたデザイン。まさに大和ハウスグループの次なる100年に向けた、飛躍へのシンボルともいえる斬新かつ有機的な建築物の姿であった。

「新しい価値創出」のために開かれた施設

この施工に携わったフジタのプロジェクトチームは、まず感じた。「ここまで複雑なものを、本当につくりあげることができるのか…」と。メンバーたちのこれまでの経験では、設計図の段階でイメージがつき、スムーズに取り掛かることができた。しかし今回は工程が進むたびに立ち止まらざるを得ないほど、困難を極めた。今回の施工チームにおいて、作業所長として就任した森田は着工時を振り返り、こう語る。「これまで手掛けてきた建物に比べ、何倍もの難しさを感じました。でも一つひとつ整理し理解していけばできるはず。やるしかない、その一心で臨みました。また同時に、挑戦しがいのある面白い仕事だとも感じました」

白熱したグループ社員によるワークショップ

かつて
経験したことのない
「難解な施工」に挑む

研修センターとしては日本最大級の規模を誇る大和ハウスグループ「みらい価値共創センター コトクリエ」。施設は主に3つのゾーンで構成されている。流線型の外装に包まれた中庭「風のパティオ」、4階まで形状の異なる吹き抜けが伸びる「太陽のホール」、風格漂う丹生庵と名付けられた特別迎賓室や、発掘調査で出土した井戸を展示する吹抜けのある「水のサロン」と、完成した今の姿を見ただけでも、施工における難易度の高さは、容易に想像できる。設計を担当した藤井・石川はこう語る。「水平・垂直で構成される建築の概念に“斜め”を加え、人と人が刺激し合い、新しい価値が生まれるような、未来にふさわしい空間を目指しました」

心地よい風が吹き抜ける「風のパティオ」

着工は、2019年7月からスタート。副所長というポジションを担った渡邉も、心を決める。「できるわけない、と感じたままでは物事は前に進みませんから。あきらめずにやり通す、という信念を忘れませんでした」。今回のプロジェクトでは、施工イメージを3Dモデルで確認できるBIMを採用。鉄骨建方から内装、外装工事に至るまで、仕上がりの想像がつきやすく、発注者や関係者との合意形成に大きく貢献した。しかし、実際に施工する手順や作業用足場を架設する図面などは、すべて人の手によって導き出さなければならない。

木々の温もりに包まれた「太陽のホール」

工事チーフとして現場を取り仕切った吉田にも、いままで味わったことのない緊張感が走る。「皆が暗闇で手探りしている状態だったので、明かりを灯す役に徹しました。2週間ごとの到達目標を絵で描いて説明するなど工夫しながら」と語る。そうして作業をけん引する最中も、社内外から注目されるプロジェクトだけあって、現場には大和ハウスグループの関係者をはじめ多くの人々が、頻繁に見学に訪れる。そのたびに吉田は「何としてでも完成させなければ」という強い使命感に駆られた。「注目に応えることも重要な仕事であり、ただつくるだけでなく、その過程すらも魅せることを意識して進めました」

自分と向き合える空間「水のサロン」
設計担当として尽力した石川(左)、藤井(右)
施工チームの中核を担った吉田(左)、森田(中央)、渡邉(右)

「王道・正直・誠実」の
方針が成功への糸口に

どんなに難解で膨大な作業量でも、多くの人たちが2021年の完成を待ち望んでいる。重圧がのしかかる中、所長の森田が掲げた方針は「王道・正直・誠実」。斬新さに振り回されることなく、奇をてらわず核心を貫くこと。最良の方法を導くために、正直に話し合うこと。関わる人に恵まれるよう、誠実に振る舞うことが大事であると、森田はメンバーに対し、ことあるごとに伝え続けた。

その方針を受け入れ、鉄骨・内装工事に従事していた西澤は、フジタOBに相談したことで助けられる。それは、太陽のホールの吹き抜けを、杉の板張りで仕上げていたときのことだった。「木目の角の納まりや継ぎ目に納得がいかない部分があったのですが、直すには再び高い場所に足場を組み直す必要があり、機能的には問題もないのですごく葛藤したのですが、OBの方から『フジタの仕事としてこの先ずっと残る建物だ。そしてここはグループ全体の研修センターとなる場所だぞ、妥協していいのか』と言われました。あのとき思いとどまっていたら、一生悔いが残るところでした。」

数万パーツもの鉄骨が用いられた複雑な構造
吹き抜けの木目も空間演出につながっている

王道・正直・誠実の方針は、外装工事を担当した藤田の心にも深く刺さっていた。「今回の建築物は、意匠の魅力を余すことなく実現することを求められているのはもちろん理解していましたが、向き合うべき王道の部分は、やはり建物の安全性と品質。そこは譲ることなく、毅然とした態度で臨みました」と語る。曲線のバルコニーが連なる風のパティオも、迎賓室としての品位が問われる丹生庵も、設計イメージに留意しつつ、構造、躯体の強度を確かめながら慎重に仕上げたという。完成した頃には、メンバー皆で喜び合うほどの一体感が生まれていた。

雨が降ると庭に水鏡が現れる丹生庵

完成へ導いたのは
メンバー同士に
生まれた「絆」

着工時はメンバーが「本当にできるのか」と口を揃えていた建築物が、ついに完成を迎えた。まさに大和ハウスグループの想いが込められた、飛躍へのシンボルを見事に具現化させたのだ。その背景で尽力したのは、もちろんフジタだけではない。発注者の大和ハウス工業をはじめとする各グループ会社の技術、ノウハウ、そして機動力があってこそ成し得た力だ。そして、関係者の意思疎通や連携をスムーズにしたのは何と言ってもBIMという最先端技術。企画から設計、生産、施工、そして完成後の建物管理まで一貫してBIMを活用するという今回の試みは、加速する“建設DX”導入の成功事例としても、フジタにとって転機となるプロジェクトとも言える。
そのような中でも、渡邉が特に感じたのは、フジタという会社の、層の厚みだという。「設計部門と工事部門の連携も含めたオールフジタの総力の結集」また、「素晴らしいOBの存在」を改めて痛感した。「その伝承による技術力、提案力、組織力で今があるということを再認識できる機会になりました。こういった部分は自分も若手社員にしっかりと伝え、代々受け継いでいきたいとも強く思いました」

施工時には現地とBIMモデル(右)を並べて見るアプリを利用して進行状況を把握
外装工事を担った藤田(左)、鉄骨・内装工事を担った西澤(右)
LEADS Evolution

先代からのノウハウを
継承&最先端技術の採用

新しい価値を創出する人財育成へとつながる「共育・共創・共生」の場として誕生した大和ハウスグループ「みらい価値共創センター コトクリエ」。大和ハウスグループの社員利用はもちろん、地域の方々や異業種企業との交流施設としても開かれていく。SDGsを見据えた各認証取得も進行しており、オープン後もさらなる進化を続ける次世代を担う施設である。このような記念すべき建築物に携われたこと自体が誇りだと、森田は語る。「特に感慨深かったのは、施工が進むにつれ、メンバーと気持ちの上でつながれたこと。キャリアもあり、個性も強い面々がひとつの目標に向かい、出来上がりを喜び合えた。世界に一つの建物を、一生に一度のチームで成し遂げた。皆が『この現場に携われてよかった』と言ってくれた。自分と同じ想いであったこと、それが何よりうれしかったですね」

新しい学びの場として充実した環境の
大和ハウスグループ「みらい価値共創センター コトクリエ」
未来を創造する価値を生みだす施設
LEADS Relief

SDGsを見据えた
仕様・デザインを具現化

Voice

不可能を可能にするのは
挑戦、そして強い絆

作業所長森田

施工中は苦しいことも数多くあるが、完成すればそのすべてが吹き飛ぶほどの高揚感が得られる。そして、建物を実際に利用する人の喜んだ表情を目のあたりにすれば、この上ない達成感が得られる…それが建築という仕事の醍醐味だとメンバーは口々に語る。「難題から逃げずに、正面からぶつかっていく実直さ、同じ目標に向かってメンバー同士が理解し合い、絆を深める姿勢。それが、フジタという会社の個性であり、今回の完成へと導いた要因だと思います」と森田は語る。4年以上にわたる一大プロジェクト。建物は完成したが、型にはまらない自由な議論から生み出されたこの施設は、これからも多くの人々に愛され育てられ進化を続けていく。それがメンバー全員の想いであり、願いである。

大和ハウスグループ「みらい価値共創センター コトクリエ」