近年、地球環境問題への取り組みが企業経営上の大きな課題になってきている中、建設業においては、工事区域とその周辺の自然環境の保全対策の実施がますます重要となります。
当社では、オンライン地理情報システム(GIS)を活用した自然環境管理システムによって、環境影響が懸念される建設工事の現場に生息する動植物の保全活動に取り組んでいます。
これまでに保全活動を実施したモデル工事の一例として、東日本大震災の津波で被災した宮城県南貞山運河の堤防復旧工事での成果を紹介します。

- センダイハギの保全
センダイハギ(宮城県絶滅危惧Ⅰ類)が工事で消失することが明らかになったため、複数の手法(移植、立入禁止柵設置、種子から苗作成)で保護し、工事終了前にもとの分布区域に復元し、絶滅を防止しました。 - 野鳥の生息場を保全
オオヨシキリなどの野鳥の生息場であったヨシ原が工事用道路や資材置場で消失する計画であったため、ヨシ原の一部を工事期間中に残し、工事終了後に残りの部分が徐々に復元できるよう野鳥の生息場を保全しました。 - 在来種の復元活動
工事前に現場に自生していた在来種7種(チガヤ、カワラナデシコ、ハマヒルガオ、ハマエンドウ、コウボウムギ、コウボウシバ、ケカモノハシ)の種子を採取し、発芽苗の植栽または播種により、堤防法面に植え付けました。植え付けにおいては、工事完了後も継続して維持管理が行えるよう地域の方々の意見をいただきながら一緒に取り組みました。 - 発芽困難な自生の在来種を復元
種子の発芽が困難であった4種(センダイハギ、ハマヒルガオ、コウボウムギ、ケカモノハシ)について、社内の環境スタッフが独自開発した発芽促進手法により苗の作成と移植による復元を成功させ、自生する草本類から採取した種子からの復元を可能にしました。
これらの取り組みが評価を受け、生物多様性アクション大賞2018 まもろう部門において入賞しました。