快適な住環境や工事環境の決め手は「音」
その「音」に徹底的にこだわり、追求する
研究開発阿部 将幸
8,620坪の広大な敷地を有する技術センターでは、住環境の快適さや建物の機能を高める様々な研究が進められています。その中で私が取り組んでいるテーマは、「音」。わかりやすい例としては、快適な音環境を実現する吸音材の開発や、建設現場や建物から発生してしまう低周波音を低減させる、ノイズキャンセリング技術の研究などが挙げられます。現在は、主に低周波音対策を研究していますが、遮蔽や吸音による制御が難しい低周波音をいかにしてコントロールするか、日々試行錯誤しています。また、研究と並行して、実際の建設現場の支援や設計支援も行っています。具体的には、シミュレーションによる騒音の伝搬予測を行い、周辺環境に配慮した騒音対策の提案や、用途に応じた遮音・音響設計支援を行っています。このように、仕事の実態としては、研究開発と技術コンサルティングの双方に携わっているため、研究所から現場に至る各分野のスペシャリストから刺激を受けることができる恵まれた環境だと感じています。
一言で「音」と言っても、その範疇は多岐にわたります。たとえば遮音設計を行う場合でも、工場騒音と鉄道騒音とでは、音の性質は異なるため、設計も全く異なります。一方、音楽スタジオと多目的ホールでは、その用途に最適な音響設計が成されるべきです。どんなにすばらしい建物でも、「音」次第で、快と不快が左右されると言っても過言ではありません。この奥の深さが音の魅力であると言える気がします。また、音はクレームに直結しやすく、トラブルの種とも言えます。騒音は、発生するとクレームになりますが、騒音がない環境そのものが褒められることはありません。言い換えれば、世間が気にもしないような当たり前の環境を担保し続けなければならない厳しい世界とも言えます。しかし、私はこの状況が苦しいと感じることはありません。なぜなら、何不自由ない設備と、理解ある上司のもとで研究をさせてもらっているからです。この環境を享受し、着実に経験を積みながら音響分野のエキスパートを目指していきたいです。
阿部 将幸
所属部署:環境エンジニアリングセンター 環境計画部
2010年入社/自然科学研究科環境共生科学専攻
高校まで短距離走者として陸上に熱中していましたが、大学では研究三昧。現在は完全なインドア派に。休日は熱帯魚の水槽を眺めながらレイアウトを模索しつつ、同じ職場の研究者の妻とのんびり過ごしています。
※掲載情報は取材当時のものです