誤解を生まない
コミュニケーションを心がけ
建物の安全性、施工性、コストを守る
構造設計相浦 究
構造設計者として、入社以来、ホテルや工場、そして現在は複数の物流倉庫を担当しています。ゼネコンでの構造設計は、建物の安全性、施工のしやすさ、コストなど、さまざまな観点から最適となる建物の骨格を設計し、無事に建物が完成するまでを見届けるのが仕事です。文章にすると簡潔にまとまりますが、実際の業務内容は複雑で、広範な知識と経験、あらゆる関係者に対する細やかな配慮が求められます。例えば、耐震性を優先するならブレース(筋交い)を多く使いたいところですが、物流倉庫は荷物の搬出入のしやすさなどが重視されるため、施主であるお客様は動線を阻害するブレースを極力減らしたいと考えられます。そうすると、建物の安全性と使い勝手の面で両立できる点を見つけなければなりません。こういった要望は、お客様からだけでなく、意匠設計や設備設計、営業、施工部隊など社内のさまざまな立場からも寄せられます。それらを整理し優先順位をつけながら、ときに相反する条件を満たす最適解を見い出すところが、構造設計者の腕の見せ所でありこの仕事の面白い点だと思います。
工事がはじまった後は、自身が設計図に落とし込んだ納まりや仕様が、施工においてしっかり反映されているかを確認するのですが、工事関係者とのやり取りの中で “正確に伝える”ことの重要性を日々感じています。図面にはさまざまな補足情報を記入します。過去に担当していた物件で、構造設計者としては「当然分かってくれるだろう」と思っていたことでも、現場側では違う解釈で受け取られ、手戻り作業が発生してしまったということがありました。“図面に記載する情報は誤解を生む表現であってはならない”と思い知らされた経験でした。そのような失敗も経て、入社間もない頃の図面と今のものを比べると、齟齬が生じないように細かい点にまで配慮をして図面作成ができるようになったと、自分自身の成長も感じられます。どんな建物をつくるのであれ、使う人の安全性を考えて形にしていく。この仕事は、人々の生活の一助となる、やりがいのある仕事だと感じています。
相浦 究
物流事業統括部 物流構造設計部
2016年入社/理工学研究科修了
凛とした雰囲気に惹かれ、学生時代は弓道に没頭していましたが、今は、運動することもほとんどなくなりました。休みの日は、小さい息子と思い切り遊び、疲れて一緒に寝て過ごすことが多いです。
※掲載情報は取材当時のものです