建物の信頼性を守る
それが構造設計に課せられた使命
設計(構造設計)西川 葉志乃
建物を建てる際には、欠くことのできないさまざまな要件が存在しますが、人命の安全が守られる構造であることは、必須のテーマと言えます。例えば、人や家具等の荷重や経年による劣化などの長期的な負荷であったり、地震や台風、大雪といった、短期的・瞬間的に発生する負荷であったりと、建物にはさまざまな力がかかります。それらに耐えうる安全な建物となるよう適切な材料を選択し、架構計画を行い、構造計算により安全な構造であることを確認していくことが私たち構造設計者の仕事です。具体的には、構造計画、基本設計、実施設計、工事監理というフェーズごとに、発注者と施工者の間に立ちながら意匠設計や設備設計との調整や法的観点を鑑み、堅牢な建物を作るための仕様を確定させていきます。こうした私たちの仕事は、結果として建物の信頼性を守る仕事と言えます。最悪の場合、私たちの仕事次第では、建物に重大な欠陥が生まれる可能性もあるのです。そのことを胸に留めながら、日々の業務に臨んでいます。
これまでに物流倉庫や結婚式場、商業施設など、さまざまなプロジェクトに参画する機会に恵まれたことで、ようやく落ち着いて設計に向き合えるようになりました。現在、免震タワーマンションの構造計画に加えて、マンションと社員寮の監理を行っていますが、建築は一品生産と言われるように、まったく同じ建物に出会うことも設計することもありません。その多様な変化こそが、設計の魅力だと感じています。また、監理業務は、現場での配筋検査や施工図の確認を行いながら、建物が自分の設計通りに形になっていく光景を見ることができます。当然、監理者として、厳しく品質監理を行わなければならないのですが、自分の想像したものが徐々に形になっていく過程では、いつも頬が緩んでしまいます。改めて過去を振り返ると、苦労したことが思い出されますが、それに見合うだけの喜びが必ずありました。そんな喜びをまた味わいたいと感じさせてくれるのが、設計の魅力であり、私を仕事にかき立てるモチベーションになっています。
西川 葉志乃
所属部署:東京支店 設計部(構造)
2010年入社/理工学研究科建築学専攻
学生時代に海外旅行にはまり、ヨーロッパ、アジア、東南アジアなどを旅行しました。特にドイツ・ポーランドを2週間かけて鉄道で周遊したのが思い出です。長期休暇の度に次はここへ行こう!と計画するのが好きです。