自己の創造欲求を満たすのではなく
誰もが納得する意匠設計を目指していく
設計(意匠設計)石川 陽一郎
意匠設計といえば、机に向かって図面を自由にデザインするイメージを持たれる方が多いと思いますが、実際の仕事はその範疇にとどまりません。むしろ、施主とのニーズのすり合わせや、設計部内や、営業部・工事部まであらゆる部署を巻き込んだ社内の調整、役所との協議および届出書類の作成といった申請関連業務など、設計を軸として、接点を持つさまざまな関係各所との折衝こそ、意匠設計者の仕事の本質であり、真の役目であると私は思います。1つのデザインをつくり上げるプロセスには、施主の要望、社内の事情、法的な制約といったあらゆる要件をうまく均衡させながら設計を進めなければならない場面が随所に存在し、自己の創造欲求のまま描く自己満足のデザインとは極端に難度が異なります。そういった立場ごとにバラバラなベクトルの舵を取り、社内も、対外的にも、誰もが納得できる最善のデザインを追求していくのが意匠設計という仕事の難しいところです。
意匠設計は自分の出した答え(=デザイン)が結果として正解となる根拠に乏しい世界。法的制約がある中でも、その自分なりの正解で、周りを納得させることが出来ている人こそが、良い設計者だと思っています。良い設計者に近づいていくために必要なことは多々あると思いますが、まずは数多くの設計に関わり経験を積みながら、建築や設計という分野にとらわれることなく幅広く知識を持つことが第一歩だと。その一つひとつの経験・知識の蓄積が、皆を納得させる鍵につながると考えています・・・。意匠設計はデザインを生み出す苦しみをはじめとして、苦労することは多いですが、これまでにやめたいと思ったことはありませんし、むしろ楽しいと思っています。一筋縄でいかないところにこそ、意匠設計という仕事のやりがいや面白味が潜んでいるからだと思うのです。そんな不思議な魅力を持つ仕事に携われることに感謝しながら、この道を究めていきたいと思っています。
石川 陽一郎
所属部署:大阪支店 設計部
2010年入社/工学研究科社会環境システム専攻
高校時代に行っていた自転車競技を、健康維持の目的で再開しました。毎週末に乗るようになり、日々の集中力が高まった気がします。それ以外は、フットサル、スノーボード、子育てに興じて過ごしています。