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FUJITA DaiwaHouse Group

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トンネル掘削の発破活用で地質を高精度に連続探査 工期短縮を実現し、安全性向上にも寄与

 株式会社フジタ(本社:東京都渋谷区、社長:上田卓司)と株式会社地球科学総合研究所(本社:東京都文京区、社長:太田陽一、以下 地科研)は、フジタが施工した3件のトンネル工事において、トンネル掘削工事の発破そのものを「トンネル浅層反射法探査(SSRT※1)」(特許登録済)の震源に活用して、切羽前方300m先※2までの地質状況を、全線にわたって連続的に精度よく探査する「連続SSRT」に成功しました。(特許出願済)ルビジウム刻時装置(いわゆる原子時計)を坑内に搬入して、正確な時刻を得ることによって実現したもので、国内では初の実用化です。

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トンネル工事における連続SSRT観測装置の設置手順(ルビジウム刻時装置使用時)




 SSRTは地盤に人工震動を与え、前方地山の地層境界面などから反射して戻ってくる振動を複数点で測定して、得られる反射記録から地質状況を探査する方法で、両社が1998年に共同開発したものです。通常SSRTは、掘削工事の合間に測定・解析を行うため、1回の探査に1日の工事中断を要していました。また震源となる発破や油圧インパクタ等をその都度準備する必要がありました。
 SSRTを応用した連続SSRTは、掘削工事の発破(段発発破の時間遅れ約250ミリ秒)を活用するため、他の震源が不要となりコスト縮減が図れるとともに、工事工程への影響も生じません。また発破ごとに連続して坑内と坑外で測定することで探査精度の向上が期待できます。日常的に切羽前方300m先の地質を把握できるため、余裕を持って計画変更や資機材の調整等が可能となり、安全性向上への貢献も期待できます。

 連続SSRTでは探査精度向上のために、トンネル坑内で長期間にわたる正確な時刻データが必要です。通常はGPS信号で校正しますが、坑内では受信できないため、両社は共同で以下の2種類の装置を開発し、坑内探査を実現しました。この連続SSRTへの適用性を、久礼坂トンネル(高知県高岡郡中土佐町)、古江トンネル南(宮崎県延岡市)、野地トンネル(宮崎県東臼杵郡椎葉村)の3件の工事において検証しました。
 GPS信号を光ケーブルで伝送する「GPS信号光伝送装置」では汎用の振動記録装置を使用できるが、トンネル坑内に光ケーブルを配線しているため、延長距離とともに断線リスクが高まります。
 これに対して「ルビジウム刻時装置」(原子時計※3の一種、月差 数μ 秒以下)と「専用の振動記録装置」を組み合わせた方法は、GPS信号で校正したバッテリー駆動のルビジウム刻時装置をトンネル坑内に携行・常設し、坑内の記録装置の時計精度を確保したものです。光ケーブル断線のリスクがなく、記録装置も小型・軽量で関連機器も少ないため、現場での取り扱いが非常に容易。このような原子時計の使用例はわが国初。

 連続SSRTを実施したトンネルの1つ「古江トンネル南」(宮崎県延岡市)は、古江衝上断層といわれる断層破砕帯※4の存在が想定されていましたが、土被りが深く設計時の地質調査が困難であったこともあり、トンネルルートの地質が不明瞭でした。そこでフジタは連続SSRTの実施を提案し採用されました。掘削開始当初はGPS信号光伝送装置を用いて連続SSRTを実施し、次いでルビジウム刻時装置を用いた手法を併用して、全線にわたり掘削の発破ごとに連続SSRTを実施しました。探査結果と実際の地質状況もよく一致し、危惧されていた断層破砕帯もなく、本年6月8日に到達式を迎えました。
 
 SSRTは今回の工事を含みこれまでに15件の実績があります。掘削に先立つ坑外からの探査に始まり、坑内での連続探査、出口側坑口の探査まで一貫してSSRTを適用することにより、工事工程に支障を与えずに低コストで前方地山を正確に把握できることから、今後は汎用技術として定着させていく予定です。



※1 SSRT Shallow Seismic Reflection survey for Tunnelsの略称。フジタと地球科学総合研究所が共同開発した、地盤に震動を与えその反射波からトンネル前方の地質状況を予測する技術。
※2 300m先 掘削発破(段発発破)の時間遅れ約250ミリ秒間に発破震動が反射して戻ってくる距離。
※3 原子時計 原子や分子のスペクトル線を用いて正確な時間を計る時計である。高精度のものは10-15(3000万年に1秒)程度、小型化された精度の低いものでも10-11(3000年に1秒)程度の誤差である。アンモニア、セシウム、ルビジウム、水素などの原子を利用。[出典;ウィキペディア]
※4 断層破砕帯 断層により大きな力が何度か加わっているうちに硬い岩石が破砕し、侵食されやすくなった帯状の部分。隙間に大量の水を含み、また地下水の通り道となっている場合もあり工事の障害となる。

【久礼坂トンネル】
 工事名称:四国縦断自動車道 久礼坂トンネル工事
 工事場所:高知県高岡郡中土佐町久礼
 発 注 者:西日本高速道路株式会社四国支社
 工  期:2006年3月25日~2009年3月8日
 施 工 者:株式会社フジタ・みらい建設工業株式会社
 工事概要:道路トンネル、延長927m、内空断面80.0m2

【古江トンネル南】
 工事名称:東九州道(県境~北川間)古江トンネル南新設工事
 工事場所:宮崎県延岡市熊野江地先
 発 注 者:国土交通省 九州地方整備局
 施 工 者:株式会社フジタ
 工  期:2008年2月5日~2010年11月30日
 工事概要:道路トンネル、全長2,417mの内 南側1,347m、
      車道幅員12.0m(全幅員14.0m)、内空断面積94.0m2

【野地トンネル】
 工事名称:平成20年度 連携国道第7-2-4-1号 国道327号野地トン
      ネル工事
 工事場所:宮崎県東臼杵郡椎葉村大字松尾
 発 注 者:宮崎県日向土木事務所
 工  期:2008年12月17日~2010年12月25日
 施 工 者:株式会社フジタ・株式会社矢野興業・株式会社内山建設
 工事概要:道路トンネル、延長1,019m、内空断面50.4m2



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連続SSRTにおける震動(弾性波)の伝播と反射のイメージ



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