
フジタホーム > エグゼクティブコンサルタント > 松田 節夫
夢と希望があるVEを
追究する価値創造人
VE(Value Engineering)のプロ

子供のころから建物が好きで、建築にかかわる仕事に就くことが天命のように感じていた。選んだ進路は設計・意匠だった。アルバイト先の設計事務所でさまざまな設計に関わり、その面白さを味わうが、施工を知らない自分に気がつく。ル・コルビジェや丹下健三に憧れていた青年がフジタに入社し、施工の世界に飛び込んだ。
松田が27歳のとき、これだと心に響いた出来事があった。VE(Value Engineering)*1という手法を取り入れ、解決方法を見つけ出したことだった。作業所から排出される廃棄物の処理に時間とコストを要していたところ、廃棄物という固定観念や先入観を取り払い、リサイクルという「機能」に着目し、改善を行うというVE手法で、コストと時間の削減を可能にした。そのときからVEは面白いという思いが、松田の胸の中にくすぶり続けていった。
いくつかの作業所を経験した松田は、40代後半、VEの専門部署に配属になる。VE関係の資格の中でも超難関のCVS*2を取得している上司から見込まれ、鍛えられ、チャレンジする精神を学んでいく。「わが道はVEだ」と決意は固まる。上司と同じようにCVSを取得し、社内外でVE教育、啓蒙を進めていく。
*1) VE手法
1947年アメリカのマイルズ氏により開発されたもの。当社は、1968(昭和43)年に経営計画の5本柱のひとつにVE導入を掲げ、40年にも及ぶVEの取り組みが蓄積されている。
このVEには、V(価値:Value)=F(機能:function)/C(コスト:Cost)という基本式があり、機能とコストの両面から対象の価値(Value)を向上させていく手法。価値ある建物(商品)、サービスをお客様に提供し、満足してもらうとともに利益を創出する有効な管理技術。
→詳しくはVEのページへ
*2) CVS(Certified Value Specialist)
アメリカVE協会の認定・登録資格。VE関係の資格の中で最も難関で日本国内に125名(2008年12月現在)、世界では800名余り、当社は松田を含め、2名在籍している。CVSは、VEコンサルタントを行う上で、スキル、経験、知識が豊富にあり、また組織構築、システム導入、教育研修などの複合的な能力のある者に与えられる。
40年にわたるフジタのVEの歴史は、トップダウン推進の第1段階、短時間型の3時間VEなどの簡易型に移行した第2段階、そして発注者から提案を求められるようになり、大きく様変わりした昨今、新手法「2時間VE」が登場した第3段階へと進化をたどっている。
「オリジナルの3時間VEをさらにグレードアップさせたい。人が集中できるのは2時間だ。これでいこう」、松田は目標を定める。「本当に2時間でできるのか?」、周りからそんな危惧も聞こえてきた。松田主導による 社団法人日本VE協会の研究会で、開発に8年を費やした。
従来、10の実施手順を11枚のワークシートにまとめるというスタイルを、A3サイズ2枚に簡略化した。VEそのものをVE手法で、価値を創造させたのである。「用紙のサイズをどうするか。機能系統図を入れると2時間では終わらない」。検討会も50回近く行い、たたき台に2年、実証活動による修正に6年、しぶとく取り組んで完成へとこぎ着けた。
2005年、「2時間VEの進め方」(社団法人日本VE協会刊)が刊行され、専門書としては異例の数千部の売り上げとなり、その後、松田へ2時間VEの講師の依頼が殺到した。反響の大きさに驚くとともに、苦労して作り上げた2時間VEの完成度に手ごたえを感じた。
2007年にはVE発祥の地、アメリカVE協会主催の世界大会で発表し、2008年の同協会からの要請による再度の講演後は「ブラボー」という歓声と拍手をもらい、松田はVEには夢と希望があるとつくづく感じた。アメリカ内務省でも2時間VEが実施され、その効果が認められている。
18年間VEに携わってきた松田だが、「海外を含め、数多くの作業所で施工技術者として経験を積み、ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)支援業務も、VE推進業務の糧となった」と軌跡を振り返る。「コストダウンの一手法という位置づけではなく、お客様に対して機能とコストの関係から価値のある提案をする道具(ツール)と捉え、人づくり、仕組みづくりを進めながら、VEに取り組む仲間と価値創造の喜びを分かち合っていきたい」と夢と希望のあるVEを語る。
2007年から2年続けてVE全国大会実行委員長を務めるなど、VEのトップランナーとしての誇りが日本のVEを牽引していく。
「右と言われると左を見る。上下左右、見回して物事を進める性格はあまのじゃくかなー」。中途半端は嫌い、情熱を持って前に進んでいくのも松田らしさである。社内で発行している月1回の「VEコラム」ももうすぐ100回を迎える息の長いエッセーだが、手を抜かない。「『松田さん、コラム読んでいますよ』、そう言われて続けてきて良かったと、うれしくなります」。
囲碁は打たないが、見るのが好き。「囲碁の攻め方とVEは似ているんですよ」。ペットのチワワのことになると相好を崩す、愛犬家である。